布と蠟と染料。これらの物質は私の作品制作において重要な素材である。

これら素材の生理を利用することは染色の醍醐味であり、染色が染色たる

ゆえんを見い出す方法であると考える。そのために私は布に蠟を置き、染

料を染めるだけでなく、経緯いずれかの糸を引き、移動させることを行っ

ている。それによってあらわれる線は描いたものではなく、布の構造から

あらわれたものであり、素材の生理を生かしたものであると考える。